[181冊目]実際の武士が幕末・明治につけていたリアルな家計簿

181. 武士の家計簿

とある下級武家が綴り続けた、幕末明治の家計簿

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新』。ホリエモンが著書『情報だけ武器にしろ。』の中で、おすすめの4冊の中の1冊として紹介してたので、読んでみました。

金沢藩士の猪山家という「誰やねん!」とつっこみたくなる一族が綴った”家計簿”についてのお話です。こうやって書くと何も面白くなさそうですが、実はなかなかストーリーがありまして、この”家計簿”に幕末から明治にかけての武士の情勢がわかる壮大な物語が含まれていたのです。そして猪山一族の生き様は、現代の我々にとっても学ぶことが多分にありました。ホリエモンがおすすめするのも納得の一冊でした。

<<下に続く>>

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金沢藩に使える下級武士、猪山家は代々算術が得意な家系でした。その能力を買われ、金沢藩の経理係に抜擢されます。当時、算術など武士が学ぶべきものでは無いとされた時代でしたが、算術能力は、どの藩も他国から引き抜いてでも欲しいとされるスキルでした。ただ時代背景もあり、決して給料が高かった訳ではないので、猪山家も他武士と同様、多くの借金を抱えてしまいます。経理係の習性か家計簿をつけていた猪山家は、このままでは破産してしまうということを察し、家財の一切売り払い、なんとか借金を減らして、生きながらえました。

時は経ち、明治維新前夜、最後の将軍徳川慶喜を助けようとした金沢藩は、軍を編成します。その中で猪山家は、軍の兵站係に抜擢されます。猪山家は算術能力をいかんなく発揮しましたが、結果的に金沢藩は戦わずして薩長軍に降伏することになります。しかし猪山家の算術能力の評判を聞いていた薩長軍のリーダー大村益次郎は、なんと猪山家を薩長軍にヘッドハンティングしてしまいます。

その後再び時は経ち、明治の世、武士は政府により生きるすべを奪われてしまいました。”士族の商法”により新たな人生に挑む者もいましたが、大抵はことごとく失敗していました。猪山家は幸いにも官吏に残れたため、そのまま海軍に属することで、困窮を免れたのでした。

実は先の”家計簿”には、それらの記録が全て綴られていたのです。だからすべてノンフィクションです。この古文書を見つけた時の筆者の興奮は、本編の到るところに現れています。これほど詳細に記録された家計簿は他に類を見ないそうです。そして、あとがきで綴られていましたが、人に蔑まれても「算術」というスキルを磨き続けたこと、今いる組織の外に出ても必要とされる能力を持っていたことが、結果的に猪山家を他の武士の20倍もの年収を得るまでに押し上げたというリアルなドラマは、現代の僕たちでも大いに学ぶことがあるのではないでしょうか?映画化もされてるみたいです。気になった方は是非。

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

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