[161冊目]ほっこり。人に薦めたくなる小川糸の「食堂かたつむり」

161. 食堂かたつむり

人に薦めたくなる本

食堂かたつむり』は小川糸の2008年のデビュー作です。デビュー作でこのクオリティか…と感嘆してたら、デビューまでは色々苦労されてたみたいですね。今では念願のドイツ暮らしを満喫中とか。自分が望んだ生き方で生きていけるって、あこがれますよね。

さて物語は、主人公倫子のある1日から始まります。ある日、インド人の彼氏が待つアパートに帰ると、そこには家具も、冷蔵庫も、照明も、カーテンも、そして貯金とインド人も、何も残っていませんでした。まるでお部屋探しの内見で訪れた様な空っぽの部屋。

ここは本当に私の部屋か?

唯一残っていたのは、祖母の形見であったぬか床だけでした。ぬか床以外、全てを失った倫子は、その日のうちに故郷に帰ります。帰り道、もう一つ失った物に気づきます。それは、彼女の”“でした。

<<下に続く>>

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口がきけないまま、故郷に帰った倫子は、ずっと反りが合わなかったスナックを経営するおかんに頭を下げ、1軒の蔵を借ります。そこで彼女は、昔なじみで愛する奥さんに逃げられた熊さんに色々助けてもらいながら、1日1客限定の食堂「かたつむり」をオープンします。

「かたつむり」は不思議な力を持っていました。直後に、料理を食べた者の願いが叶ったり、幸せが訪れたりするのです。熊さん、最愛の人を失った老婆、若きカップル、「かたつむり」は訪れた人を次々と幸せにしていきました。もしかしたら声の代わりに神様が授けてくれた力なのかもしれません。そんな「かたつむり」に、本当に幸せにしなければならない人が訪れます。。。

とにかく情景と料理の描写が美しいです。きっと著者は料理が大好きなんでしょうね。普通の小説より料理の描写が多いです。あとみんないいキャラクターです。実はあまり「声」に執着していない倫子、スナックアムールで働くおかん、昔なじみの熊さん、そして豚のエルメス。後半は、特にいいお話でした。日差しが差し込むお店で食事したくなります。描写がとても美しく、そしてほっこりした、人に薦めたくなる本でした。

食堂かたつむり

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