小説のおすすめ本

148. 和菓子のアン

大切な人に和菓子を買って帰りたくなる

和菓子のアン』は2010年に発売された坂木司のデパ地下物語。和菓子店「みつ屋」を舞台にしたライトミステリー小説です。

主人公梅本杏子(通称:アンちゃん)は高校卒業と同時にデパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めます。

仕事を覚えていく中で、和菓子にはそれぞれに秘められた物語があることを知ります。

あのお客様はどういった気持ちでこの和菓子を?

個性的な同僚達と共に、それぞれの和菓子に秘められた物語から日常のささやかな謎を解き明かしていきます。

主人公の心理描写が絶妙で、一気に読めてしまいます。

とにかくアンちゃんのキャラクターが秀逸。

ホッペが柔らかく、ややぽっちゃりらしいので日テレの水卜アナみたいなイメージでしょうか?

ミステリーというよりはデパ地下店員物語といった感じです。

読了後、きっと多くの人が大切な人に和菓子を買って帰りたくなると思います。

おすすめです。

147. 本屋の新井

かの有名な新井賞の唯一の選考委員

本屋の新井』は2018年に発売された三省堂書店の現役書店員、新井見枝香氏のコラム集です。

2018年末に著者の新井さんは『ゴロウ・デラックス』でも取り上げられてましたね。

書店員としてのこだわり、面白い小説を届けたいこと、POPへの想い、書店の裏話などを、肩の力が抜けた文章でクールかつ愛情たっぷりに綴っています。

「はじめに」(要約)

『書店で本が売れない時代になったけど、コラムを書くことでその状況を変えたいとは微塵も思わない。

もし書店が淘汰されちゃったら、まぁちょっと面倒くさいけど別の仕事を探すまで。

この本に苦境に立たされつつも本を愛する健気な書店員を期待してるなら、それは人違い。

極限までハードルを下げて、期待を捨てて、「なんかちがう」と感じながら読んでくれたらそれでいい。

それが一番楽しめる。私はいつもそうしている』

この本のテイストは終始こんな感じです。

媚びてないのが気持ちいいですし、結局読み終わると書店と本に愛情たっぷりなのもよくわかるのですが。

もちろん紹介する本もハズレ無しです。

さすがかの有名な新井賞の唯一の選考委員

人に勧めたくなる本でした。ぜひ。

あぁ書店員さんと知り合いになって、色々語りたい・・・

146. ナミヤ雑貨店の奇跡

ナミヤの爺さんが素晴らしい

ナミヤ雑貨店の奇蹟』は2012年に発売された東野圭吾の長編小説です。

逃亡中の泥棒3人組は、一軒の廃屋に逃げ込みます。

その廃屋はかつて、どんな悩みも一生懸命答えてくれる店主がいることで有名な「ナミヤ雑貨店」でした。

彼らが逃げ込んだ夜、永く無人なナミヤ雑貨店に一通の手紙が届きます。

それは33年前のある日から送られた手紙でした。

いたずら?でも何のために?

その後も次々と届く過去からの悩みの手紙。

かつて店主に救いを求めた多くの人達の手紙がなぜ今になって?

その夜は懸命に人の悩みに答え続けた店主の最期の願いが叶った、奇跡の夜でした。

どうか信じて下さい。今がどんなにやるせなくても、明日は今日より素晴らしいのだ、と。ナミヤ雑貨店」

第二章の「夜更けにハーモニカを」は泣けます。

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143. 君の膵臓をたべたい

途中から涙が止まらない

君の膵臓をたべたい』は2016年の本屋大賞2位作品です。

最初「なんちゅうタイトルや…」と思いましたが、読んでみたら号泣しました。

高校生のヒロイン桜良(さくら)は不治の病に侵され、余命は1年を切っていました。

しかし桜良は自分の病気の事を誰にも告げず、残された日々をとにかく普段通りに明るく生きようとします。

そんな折、たまたま病院で桜良と出会った”僕”は桜良の秘密を知ってしまいます。

「誰にもいわないで」

“僕”は彼女の願いを承諾しました。

親友やクラスメイトと楽しくはしゃぐ桜良をみて、ふと僕は聞いてしまいました。

「君って、本当に死ぬの?」

「…。死ぬよ」

途中から涙が止まりませんでした。

できれば何の情報も入れずに読んでみて下さい。本当にオススメです。

142. 劇場

苦しい。痛い。切ない。わかる。

劇場』。又吉直樹の本は2冊目です。『火花』より遥かに面白いです。

売れない演出家の永田とその彼女沙希の物語です。

評価されないストレス、嫉妬、劣等感を抱え続ける永田。

ただひたすら永田を愛し、認め、支えつづける沙希。

そんな二人の関係は、どんどん傷つけあってしまいます。

自分の不甲斐なさを自覚しながら、沙希にあたってしまう永田の弱さや醜さが切ないです。

「嫉妬という感情は何の為に人間に備わっているのだろう。何かしらの自己防衛として役に立つことがあるのだろうか。」

終始灰色感が漂う素晴らしい作品でした。もう芸人という偏見はいらないかな。おすすめです。

141. 星の王子さま

小学生の頃に読みたかった。お子様向けに。

小説に登場した曲や絵が気になることってないですか?「フランダースの犬」で主人公が見たかったルーベンスの絵の様な。

そんな感じで『星の王子さま』を読んでみました。先に読んだ『君の膵臓をたべたい』でヒロインが主人公に勧めた文庫本として登場していたので。

星の王子さまは故郷を離れて、いろんな星を旅することになりました。

そこでいろんな大人に出会いました。

自称王様、うぬぼれ屋、常に忙しい実業家。

みんな大人なはずなのに、王子様には理解できない不思議な人達ばかりでした。

「おとなって、とってもとっても、おかしいんだなぁ」

旅する中で王子様はとある地理学者に出会います。

そこで「はかない」ということについて学びます。

ふと自分が故郷においていった、1本のわがままなお花の事を思い起こします。

お花はいつか散ります。

「あの花をひとりにしては、いけなかったんだ」

もし小学生くらいのお子さんがいれば、是非プレゼントしてあげて下さい。

読み聞かせてあげてもいいですし、ほとんどひらがなですので2年生くらいであれば一人でも十分読めると思います。

136. 82年生まれ、キム・ジヨン

小説の形をした韓国社会への告発本

82年生まれ、キム・ジヨン』は韓国で100万部売れ、映画化も決定したベストセラー小説です。小説といいつつ、現実社会で韓国の女性たちがずっと経験してきたセクハラや男尊女卑の深い闇の実情を訴えている告発本だと思います。タイトルに「82年生まれ」と付けてるのも「リアルタイムな出来事なんだよ!」と暗に言いたかったのかもしれません。

ですのでストーリー的な面白さを期待するのはちょっと違うかもしれません。僕は小説と思い込んで読み始めたので「これの何が面白いの?」と思いながらもそのまま読み終えてしまい、あとがきでやっと理解できました。

韓国でこれだけ共感されるということは同じように苦しんでしる女性があまりにも多いということなんでしょうね。興味がある方は是非。

135. 1ミリの後悔もない、はずがない

学生時代を思い出す

1ミリの後悔もない、はずがない』。面白かったです。

登場する人物それぞれの目線で現在や過去の恋や生活が綴られた5話短編集です。特に「西国疾走少女」は傑作でした。

胸にピキっと刺さるような実在感が、昔の恋愛をフラッシュバックさせます。

すれ違ったり、上手くいかなかったり、昔と比べたり…

みんな後悔しています。

時に後悔を懐かしんだりしつつ、生きてるんですよね。

大人が好きな本だと思います。

125. 火花

悲しくも可笑しい、二人の芸人の物語

火花』はピース又吉直樹の芥川賞作品です。芸人の偏見無しで読んでみました。やっぱ面白かったです。

二人の売れない芸人の物語です。物語全般を通して太宰治の様な曇天感を漂わせつつ、少し悲しみを含んだ笑いがたっぷり散りばめられています。それらの笑いが二人に起こる数々の悲しい出来事をより一層を引き立てます。

きっと自分を含め何人も悲しい芸人を見てきたからこそ書けた小説ではないでしょうか。何となく北野映画に通ずる物を感じたり、文学感もありで僕は変な恋愛物より遥かに好きな小説でした。おすすめです。

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123. 老後の資金がありません


60歳手前で貯金がどんどん無くなっていく物語。前半は秀逸。

老後の資金がありません』。下の子供が専門学校を卒業し、ようやくお金の悩みから開放されると思った矢先に、娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費などでみるみる貯金が減っていく。挙句の果てに自分と旦那が同時期に失職してしまう。「私、何か悪いことしたか?」と言いたくなるほど負の連鎖に陥る主婦の奮闘物語。前半のテンポが秀逸。

110. 犬も食わない

脱ぎっぱなしの靴下、人肌。ほぼリアルと錯覚させる恋愛小説

犬も食わない』は30代重役秘書の福と年下ダメ男大輔の恋を尾崎世界観と千早茜が男女それぞれの目線から交互に描く物語です。なんでしょう、面白かったです。当たりかな。

30代前後の恋人にありがちな日々が描かれています。ドラマチックな事は起こりません。多少結婚にあこがれを持ちつつも現実的に難しそうだと理解してる福と常に言葉足らずでその日暮らしを望む大輔。脱ぎっぱなしの靴下、理解できない相手の言動、突発的につく嘘。

友人にいそうな二人です。どちらかというと現実から離れる小説ではなくリアルと錯覚させるような小説でした。おすすめです。

108. 平成くん、さようなら

今の東京を感じる

平成くん、さようなら』は社会学者・古市憲寿の初小説です。

おそらく著者自身をモデルにしたのではないかと思われる主人公「平成くん」は、ある日突然恋人に対し平成が終わることに伴い、自身も安楽死したいと告げます。自身の誕生日が平成元年1月8日である以上、平成の終わりと共に自分も消えてしまっても良いのではないかと。

安易に死を選んで欲しくない恋人は、主人公が心変わりするようにやさしく説得を続けます。

最終的に平成くんが選ぶ結論とは。。。

物語全体から”今の東京”が色濃く感じられます。Google HomeやUberも頻繁に登場しており、きっと著者もこんな暮らしをしているのでしょう。唯一のフィクションは日本で安楽死が広く認められているという設定くらいでしょうか。

序盤はいい感じかなと思いましたが、後半やや物足りなかったです。読みやすい本ではありますので興味ある方は移動時間にでも読まれては如何でしょうか。

107. 女生徒


自分が女生徒となり瞑想している様な物語

女生徒』は太宰治中期の短編小説です。『人間失格』がとても面白かったので呼んでみました。相変わらず”浪のまにまに”など美しい形容詞が散りばめられ、小気味よいペースで展開する太宰治らしい本でした。

内容は一人の女学生の脳内を覗いている様な内容です。見たもの、感じたことが矢継ぎ早に現れては消えていきます。感受性が高い10代の女子はきっとこれくらい色んな事を考えて、忘れて行くのでしょう。この世代の女性が思うことや、10代特有の情緒不安定さが上手く表現されています。我々世代からすると少々懐かしくも有り、娘を見ている父親の心境になりました。

あとこの物語の読み手は「瞑想=マインドフルネス」にとても良く似た感覚を覚えます。おしゃべりな脳を1歩離れて冷静に見ているもう一人の自分。そんな不思議な感覚にさせてくれる物語でした。(参考:瞑想をはじめてみた

105. 人間失格

この本に出会えてよかった

人間失格』は太宰治の小説です。今回初めて読んでみました。内容、表現の美しさなど全てにおいて心の底から出会えてよかったと思える本でした。

誰もが感じたことがある人に対する恐怖、道化を見透かされた時の恥ずかしさ、怖さから目をそらすために安易なものに流れていく若さ…

主人公葉蔵は聡明であるが故にそういった”恥”を人一倍感じてしまい、また上手く立ち回れなかった自分をどんどん卑下していきます。

こう書くと暗い本の印象を与えるかもしれませんが、単純に暗い本という訳でもありません。

僕はあまり同じ本を何度も読みませんが、この本だけは毎年1年の終わりにこの本を読み返すことにします。おすすめです。

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104. 羅生門

渋みがある読後感

羅生門 蜘蛛の糸 杜子春 外十八篇』「羅生門」を初めて読んでみました。こちらも思いの外短い物語でしたね。10分くらいで読めます。

何でしょう。。。100年前の「世にも奇妙な物語」の様な感じでしょうか。

芥川龍之介の小説はどれも仏教の世界観の中に人間のエゴやずる賢さを融合させることで「蜘蛛の糸」に代表されるような、ちょっと渋みがある何とも言えない後味が残ります。

老人になった頃に読み返すと、この渋みの読後感が分かるようになるかもしれませんね。

103. こころ

物語のテンポが…

こころ』は夏目漱石の小説です。amazonでも素晴らしい評価がついているので読んでみました。

主人公が鎌倉で出会った”先生”のことを気に入り、先生の家に入り浸るようになります。段々の距離が縮まる主人公と先生。しかし先生には常に何かを隠している気配がありました。それは自分だけでなく先生の奥さんにも。先生が誰にも打ち明けられない秘め事とは…

これだけ評価が高いので名作なのは間違いないはずです。しかし個人的にはどうも物語のテンポが遅く感じ、残念ながらあまり楽しめませんでした。こればっかりは個人差があるので仕方ないかなと思います。

ひとつ良かったのは今回、太宰、漱石、鴎外、芥川、谷崎の代表作を読んでみて、日本酒やワインの飲み比べの様に5人の名著の読み比べが出来たことです。それぞれの”味”の違いがとても良くわかりました。お酒同様、口当たりの良い酒が自分に合うとは限りませんので、もしかしたら後日漱石ファンになってるかもしれません。純文学の入門としては良い読み方だったかなと思います。

102. 鍵


これが谷崎純一郎ワールドか

』は谷崎潤一郎の小説です。友人に勧められて読んでみました。amazonのレビューでも賛否両論ですが、僕はシンプルに面白かったです。

夫婦それぞれが内緒でつけている日記を、途中から相手に覗き読まれていると知りながらも書き綴る奇妙な物語です。そして物語が進むに連れて自分自身もこの夫婦のやり取りを覗き見ている様な不思議な感覚に陥ります。これが谷崎潤一郎ワールドなのでしょうか。

男女が交互に心理を語る描写は江國香織の「きらきらひかる」を思い出します。実は「鍵」も「きらきらひかる」も勧めてくれたのは女性でして、もしかすると女性の方がより共感できる本かもしれません。

101. 高瀬舟

ブラックジャック

山椒大夫・高瀬舟』は森鴎外の有名な短編小説2作です。森鴎外の作品は1度も読んだことがなかったので調べてみた結果「高瀬舟」が一番評判が良かったので読んでみました。下記レビューは高瀬舟についてです。

まず想像以上に短編です。内容はブラックジャックに出てきそうなお話です。読んだ後味も似ています。そういえば森鴎外も手塚治虫も医者でしたね。

何人もの罪人を高瀬川を下り護送してきた同心羽田庄兵衛。ある日庄兵衛はそれまでには見たことがない程安らかな顔をした罪人喜助と出会う。庄兵衛はなぜ護送される罪人がそれほど安らかな顔をしてるのか不思議に思い、つい喜助に罪人となった理由を尋ねてしまう…

すぐに読めるお話ですので一度読まれては如何でしょうか。

70. R帝国

傑作!怖い!面白い!

R帝国』は中村文則のベストセラー近未来小説です。

仮想国家の話なものの、なぜか所々で、我々の現実世界を感じさせます。そして物語が進むにつれて明るみになる国家の暴走は、まるで日本の近未来の様に思え、不思議なデジャヴ感と恐怖を感じます。

本当に近い将来、日本はこうなってしまうかもしれないと思わされる程素晴らしい小説です。

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69. 世にも奇妙な君物語

旅のお供にでも

世にも奇妙な君物語』は『桐島、部活やめるってよ』作者の浅井リョウの短編5話物語集です。

「とにかくオチが凄い!」の帯広告に引かれて読んでみました。ハードルが上がったこともあり、「まぁまぁかな?」が読み終えた感想でした。

テイスト的には『世にも奇妙な物語』に似ています。

どの話もきっちり予想外な展開に落ちる短編集なので、ちょっとした空き時間の楽しみによいかもしれません。

68. コンビニ人間

ファンタジー

コンビニ人間』は第155回芥川賞受賞作品で2018年のベストセラーです。

コンビニバイト歴18年、彼氏なしの36歳の主人公はコンビニで働いている時が一番生きていると実感できる程のコンビニ人間である。

そんな主人公のバイト先に婚活目的の新入り男性がやってきて、彼女のこれまでのコンビニ人間人生に影響をもたらす…

67. 蛇行する月

それぞれのキャラになぜか共感してしまうところがある

蛇行する月』は小説家、桜木紫乃のベストセラーです。

計らずも儘ならぬ人生となり、北の大地でもがきながら必死に生きる5人の女性が、過去に駆け落ちで故郷を捨て、東京で暮らす同級生の順子に引き寄せられていく。

極貧の生活を送りながらも、“幸せ”という彼女に5人がそれぞれ感じることは…

66. ちょっと今から仕事やめてくる

仕事がつらい貴方向け

ちょっと今から仕事やめてくる』は仕事や環境に疲れた方におすすめの小説です。

ブラック企業に務める主人公。何もかもに疲れ果て、朦朧とした意識の中、ホームから飛び込もうとしてしまいます。間一髪、たまたま居合わせたかつての同級生“ヤマモト”に助けられる所から物語は始まります。

しかし“ヤマモト”とは一体…

40. そして、バトンは渡された

面白かった!

そして、バトンは渡された』は血の繋がらない親の間をリレーされ、四回も名字が変わった十七歳の女の子のお話。

「きっとつらい思いをしてる」と周囲は同情するが、彼女は常にどの両親にも愛され、また彼女も愛していた。

ラストはほっこり涙させてくれる名著です。

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